後関信一の光と影

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後関信一の光と影

第14回 後閑信一の光と影 ―栄光と挫折―

競輪の奥深さを感じた平塚記念

 ウイニングランをご覧の皆様、後閑信一です。今回は5月に行われた平塚競輪開設69周年記念「湘南ダービー」を振り返ってみたいと思います。

 まずは出場メンバーを見てみると、地元ホームバンクの和田真久留選手や桐山敬太郎選手、加藤圭一選手、そして新鋭113期生の松井宏佑選手、川崎ホームの郡司浩平選手と神奈川勢が多く、そこに静岡県からは簗田一輝選手と岡村潤選手。千葉県からは根田空史選手と中村浩士選手と南関東地区は万全の構えで遠征勢を迎えました。

 その遠征勢からはS級S班グランプリ王者の三谷竜生選手や同じくS班・村上博幸選手の近畿勢。そして2月全日本選抜競輪(別府)での落車で骨折するも復調著しく、前走の日本選手権競輪(松戸)で準優勝したS班・清水裕友選手らが、どの様にして強固な布陣の地元・神奈川勢を崩していくのかが、楽しみな湘南ダービーだったのではないでしょうか?

 まずは予選スタートの新鋭・松井選手。後方からの仕掛けでタイミングが合わない位置からの仕掛けになってしまい、そのため後位の岡村選手がマークを外してしまう形になりましたが、一人で風を切りカマシ先行。そのままぶっちぎりでゴールするのかと思いきや、ゴール前みるみる失速して4着入線。辛うじて二次予選B進出の権利は取りました。

 暗雲が立ち込める中、特選競走では【これぞ競輪!】という見事な地元ラインのレースを見ることが出来ました。やはり競輪競走は先行するラインが有利となり、先行は風を切り、2番手は敵の捲りを牽制し、3番手は風を受けようが、外帯線を空けない様にしっかりと内側を閉めて走り、敵の侵入をガードする。結果ワン・ツー・スリーが決まる! 湘南ダービーの初日特選競走が、最近私が見たレースで最も美しいレースだったのではないかと思っています。一見、簡単の様に見えるかもしれませんが、先頭で走る簗田選手の仕掛けどころと勇気! 地元を盛り上げる意味でも4番手で見守り、しっかりラインで決まるアシストを見せた中村選手。この連携プレーがS級S班をも崩してしまう競輪の醍醐味なのではないかと思います。地元勢ファンの皆様は、松井選手や桐山選手も勝ち上がり、幸先の良い初日だったのではないでしょうか。

 二次予選・準決勝で桐山選手や簗田選手、根田選手の敗退は残念でしたが、地元・南関東勢が決勝に5人勝ち上がりました! しかもその5人が結束するという人間味あふれる各選手のコメント!

 いよいよ決勝戦。先頭を走るのは新鋭・松井選手、2番手は和田選手、3番手は郡司選手、4番手に中村浩士選手、5番手が岡村選手です。対する別線は、S班・清水選手と松岡健介選手の3分戦! いくらなんでも別線は厳し過ぎる!と誰もが思っていたのではないでしょうか? 初日に仕掛けどころを逸して4着に沈んだ松井選手は、決勝は初日の簗田選手の様な走りをするだけで一件落着! あとはどこまで粘れるか?に期待が集まりました。

 しかし、レースはS班・清水選手のプレッシャーの前に、松井選手は力を出すことができず。あっさり終わってしまいましたが、松井選手は清水選手と肌を合わせたこと、41歳のベテラン松岡選手の優勝を目の当たりにしたことで、彼には今後のバネになる悔しさと競輪の奥深さを感じてもらったのではないか?と思います。

 松井選手がこれからどの様に頂点まで羽ばたいていくのか! そして松岡選手のシャンパンファイトを見てベテランの頑張っている姿に感動をもらえた素晴らしいシリーズだったと思います。

後関信一

後閑 信一(元競輪選手・競輪評論家)プロフィール


1970.5.2生/牡牛座

主なタイトル/1996共同通信社杯優勝、2001共同通信社杯優勝
2005競輪祭優勝、2006寛仁親王牌優勝、2013オールスター競輪優勝

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