後関信一の光と影

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後関信一の光と影

第9回 後閑信一の光と影 ―栄光と挫折―

 

研ぎ澄まされた3番手の選択

 

 ウイニングランをご覧の皆様、後閑信一です。

 今回は北九州メディアドームで行われた第60回朝日新聞社杯競輪祭(GⅠ)を振り返ってみたいと思います。GⅠ初のナイター開催となり6日制のオール予選。1走目、2走目のポイントの合計で二次予選に進出が出来る仕組みになりました。S級S班でもシードされない、まさにサバイバルレース! ごまかしの効かない大会となりました。

 初日の1Rから王者・武田豊樹が出走というファンからしてみると開門前から競輪場に足を運びたくなる様なワクワクする番組構成でした。年末のKEIRINグランプリ2018へ向けて各選手の想いが伝わって来ます。すでにタイトルを獲り、出場が決まっている選手。賞金争いでボーダーラインにいる選手。一発優勝を目指す選手。様々な想いがぶつかり合いました。

 そこで私が感じたことは、ポイント制だからなのか、勝ち上がりでは落車がほとんど無かったこと、そしてルール改正により近年あまり見られなくなってしまった競輪の醍醐味! 先行選手の2番手をマーク選手同士が取り合う競りのシーンもあり、スピード競輪と技の競輪にたくさんの感動をもらいました。

 激しいバトルが展開されて決勝へ勝ち進んだ9名が出そろいました。脇本雄太―柴崎淳―浅井康太ラインに、平原康多―諸橋愛の関東ライン、太田竜馬―香川雄介の四国ラインに単騎で戦う清水裕友と菅田壱道。グランプリ出場が確定している脇本選手に、賞金でほぼ確定の平原選手と浅井選手。一発狙いたい諸橋選手、柴崎選手、清水選手、香川選手、太田選手と非常に楽しみなメンバー構成になりました。

 そしてレースを見て「さすがだな!」と思ったのは浅井選手の3番手の選択でした。あくまでも私の見解ですが、浅井選手は賞金でのグランプリ出場は当確です。それでも浅井選手は自分自身にさらなる課題を課したのだと思います。それは浅井選手のベストはGⅠを獲ってグランプリ出場だと思っていたのではないかと思うからです。あの3番手選択は浅井選手にとって一つも損のない立ち位置なのです。後輩を前に回す器も見せられ、脚を使わず力を温存できる位置でもあります。

 脇本選手が先行して最終3コーナーで勝負は決まりました。後方からまくってくる平原選手に合わせて脇本選手の2番手の柴崎選手が3コーナーの登りをブロックに行く! そこで柴崎選手は終了! 3コーナーを登らず風も受けず脚を温存していた浅井選手はバンクの下りを使ってスピードを維持し、さらに脇本選手を追いかける勢いを使えば自力もある浅井選手なら脇本選手をも捕らえてしまうのです! しかも競輪道的にも、柴崎選手がブロックに行った瞬間に内に切り込むのではなく、柴崎選手が戻ってからの2センターからの仕掛けでしたから全てが研ぎ澄まされ整っていた浅井選手! 究極の自在屋から究極の競輪選手へ更に高次元な走りを披露してくれました!

 今後の浅井選手! 楽しみです!

後関信一

後閑 信一(元競輪選手・競輪評論家)プロフィール


1970.5.2生/牡牛座

主なタイトル/1996共同通信社杯優勝、2001共同通信社杯優勝
2005競輪祭優勝、2006寛仁親王牌優勝、2013オールスター競輪優勝

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